色に出に蹴り我恋は

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「薬丸さん、週末にV企画の慰労会があるんだけど参加しない?」 この人は確か企画推進部だっけな。 「私は部外者なので」 「いやいや、そんなこと無いよ。総務部には日常的にお世話になってるし、薬丸さんが参加してくれると皆喜ぶと思うんだけどなぁ」 イメチェンしてからこの手の誘いが増えた。しかし、概ね断っている。良く知らない社員に交ざって交流を楽しむほど社交的ではないし、愛想も良くない。お酒もさほど好きではない。 しかし、黒髪のミディアムストレートをアッシュカラーのマッシュボブ、眼鏡無しにしたとたん、これとは。 案外私ってイケるのかも…と自惚れる。 何せ高校生の頃は尖りすぎて怖がられる一方だったし、考えてみれば、これまで両極端過ぎた。 「申し訳ありませんが、用事があるので」 「えー、そんなこと言わないでさあ」 意外としつこいな。見た目爽やかなのに。 断る理由を思案していたところ、後ろからいきなり肩を抱かれた。 「すいません、週末は僕が先約なんですよ」 振り仰ぐと、大雅がニコニコ笑いながらも目前の男を威圧している。 「営業の…十七夜君だよね…やっぱり、君たち付き合ってるの?」
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