本編

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腰と後頭部をがっちり押さえられ、押し付けられた唇。 柚月の熱が上がっていく。 抵抗しようと身体を捻ったが、拘束した手が更にきつくなっただけだった。 唇が離された瞬間、抗議しようと開いた柚月の唇は、直ぐにまた違う角度から塞がれた。そのまま捻るようにねっとりと唇を食まれ、柚月は膝の力が抜けそうになる。しかし、熱く滑った舌を口内に差し込まれた瞬間、渾身の力を振り絞って目の前の身体を突き飛ばした。 狭い廊下で大雅は背中を壁に打ち付け、そのまま壁に凭れて此方を見ている。 見たこともない熱に煙る目。 濡れた唇を親指で拭い、舌で舐めとっている。 柚月はその圧倒的な色気に思わず後退る。 「わかったかよ」 柚月はじりじりと壁を伝いながら、混乱する頭で考える。 どういうこと? 自然と柚月の目に涙が滲んできた。 口から出たのは怒りに震える声だった。 「ばっかにすんのも大概にしろよ。そういう相手なら他を当たりな」 「は?」 「私なら逆らわないとでも思ってんの?都合の良い扱いなんてうんざりなんだよ」 柚月は手が壁の角に触れた途端に走って逃げた。 大雅は追ってこなかった。
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