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あれから一週間、大雅からの連絡と接触は途絶えた。
柚月は寂しさを感じながらもほっとしていた。これ以上一緒に過ごせば、また大雅への想いを募らせてしまうだろう。
その気持ちを上手くあしらえる自信が無かったし、また傷付くのも怖かった。
大好きで一番側にいたのにも関わらず選ばれない辛さは、もう味わいたくない苦いものだった。
知也は大雅としょっちゅうオンラインゲームをして、その中で連絡は取り合っているようだ。
たまに何か言いたげにこちらを見てくる時があるので、大雅から何か聞いているのかもしれない。
「大雅さんって、結構子供みたいなところあるよね。俺の方が大人かも」
「そう?仕事はそつなくこなしてるみたいだけど。知也は確かに大人かもね。脱いだ服はそのまんまだけどね、はい、ちゃんと仕舞え」
知也はすこし膨れながらハーイと言って服を畳んでリュックに仕舞っている。
「でも、柚月も、もうちょっと素直になった方が良いんじゃない?」
「…生意気~」
柚月は知也の背中をはたいた。
確かに素直じゃない。拗らせてる。
喧嘩は強いが、傷付くのを恐れて、尖って、強がって、身を守っていたあの頃と変わっていない。
私も子供なんだ。
でも、どうすれば良いかわからない。
大雅と顔を合わせる勇気がどうしても出なかった。
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