色に出に蹴り我恋は

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扉に凭れて目を瞑った。 間違いない。 十七夜(かのう)大雅だ。 7年の年月が経って少し面差しは変わっていたが、あの頃毎日のように一緒に馬鹿をやっていたグループの中の一人だ。 (よりにもよって…大雅…) 腕っぷしが強く面倒見が良い大雅はグループの実質のリーダーで、柚月が思いを寄せていた相手だ。 家の事情で転校することになり、高三の夏休みに誰にも告げずに姿を消した柚月にとって、苦い思いだけが込み上げる存在だ。 (とはいっても、あれから7年も経ってるし、私も変わったからな) 気づかれないはずだ、と自分に言い聞かせる。 意を決して、棚から名刺のケースを探してかごに入れると、深呼吸をして扉を開けた。 「原田さん、十七夜さん、磯貝さん」 カウンターに並ぶそれぞれの前に名刺のケースを置いた。 「中身を確認して下さい」 名刺のケースを手にとって取り出している両脇の2人に挟まれて、真ん中の大雅だけは動かない。 「十七夜さん、確認してください」 「…良く、読めましたね。僕の名前」 頭上から振ってきた声に、柚月は固まった。 しまった…。
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