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「あ、あれは、好きな子ほど虐めたいというかっ、ごめんね、子供で…。俺、女あしらいが上手いとか言われているけど、全然そんなこと無くて。薬丸さんに素直に好きだとも言えないヘタレなんだよ」
柚月は野崎の言葉が心に染みてくるのを感じた。
野崎も柚月と同じなのだ。
「薬丸さんの良いところを知っているのは俺だけだと思ってたのに…最近、薬丸さん急に綺麗になったから、焦って…ここで言わなきゃ男じゃないな、って思ったんだ」
野崎は背筋を伸ばして真っ直ぐに柚月を見た。
「薬丸さん、よければ、僕とお付き合いしてもらえませんかっ」
正直、心が揺れた。いつも嫌味で余裕綽々な野崎が、真っ赤に震えながらも真摯に想いを伝えてくる姿は胸を打った。
しかし、だからこそ、柚月も誠実に向き合わなければならない。
「野崎さんの気持ちは嬉しいです。でも、お付き合いは出来ません。すいません」
野崎はガックリと項垂れた。
「やっぱりかあ、急にライバルが増えたもんなぁ、十七夜君とか、カッコ良いもんね」
「彼とはただの同級生ですが」
野崎は力無く笑った。
「薬丸さんって天然だよね、そこんとこも可愛いんだけど…」
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