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足音に気付いて知也が振り返り、男が驚愕の表情を浮かべるのが見えた。
柚月が繰り出す中段蹴りを避けた男が何か叫んでいる。柚月はそのまま右足を軸にして回転し、再び軸足を入れ換えながらジャンプした。
「柚月待っ…」
「わああっ、まさかの360度蹴りぁぁ」
左後方に倒れた男の顔を見て、柚月は唖然とした。
「デコッチ!?」
頭突きが得意技の昔の仲間だ。
デコッチは、肩を擦りながら上体を起こした。
「わあ、本当にイバタだ…」
「何でここに?!」
「大雅から聞き出して。あいつは知らねぇけどな、こっそり来たから」
「相変わらず図体同様、地声がデカイね。てっきり知也が絡まれてんのかと思ったよ」
柚月はデコッチの腕を掴んで起きるのを手伝った。
知也が興味津々という顔で見ている。
「大雅さんの友達?」
柚月は頷いてデコッチに向き直った。
「あがりなよ、何か話があったんでしょ?」
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