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デコッチと知也が並んでスープカレーを啜っている。
「うんめぇわ。何、この水っぽいカレー」
「スープカレーだよ、デコッチさん。初めて?」
デコッチは頷いている。
…既視感。
柚月はキッチンカウンターから眺めていた。金髪で短髪、ショートコンチネンタルの髭を蓄えたデコッチは、厳ついが優しい男だ。笑うと目尻に皺が寄る。
夕飯を食べ終わった知也がお風呂場に消えたところで、柚月はデコッチに訊ねた。
「で、何なの?そもそも何でデコッチがこっちにいるの?」
「あー、俺、今仕事で隣県にいるんだよ。2日前に大雅からSOSが来て駆け付けたわけ」
「そうだ!大雅は大丈夫なの?」
デコッチは頷いた。
「過労と…心労だな、多分」
「異動して初めての繁忙期だったからね…」
デコッチは頬杖をついて小さな声で言った。
「それもあるかもしれないけど、一番の原因は多分、お前だよ」
「え?」
デコッチは横目で柚月を見ながら話し出した。
「7年前に、イバタが消えた時とおんなじなんだよ。あん時も、あいつ、体調不良であの夏は丸々寝込んでたんだ。魂ぬけたみたいになっちまってよ」
柚月は、戸惑った。
「なんで…」
デコッチは溜め息をついた。
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