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「大雅のことだけど…あいつ、ああ見えても、ちっせぇころは身体が弱くて入退院繰り返してたんだぜ」
柚月は驚いてデコッチを見た。
「そうなの?!あの鬼神の申し子みたいな奴が?」
デコッチは笑った。
「そうそう、想像出来ねぇだろ?俺は小学校ん頃から一緒だからさ。ガリガリで小さくってさ、青白い顔してたな。向こう気だけは強かったけどよ。大雅のお袋と俺のお袋が仲良かったから、生死の境をさ迷ったとか、大人になれないと思ってた、とか良く聞いたよな」
そんなの全然知らなかった。
柚月は膝の上のトートバッグをぎゅっと握りしめた。
「だからまぁ、反動なんかな、あんなヤンチャするようになったのは。そんでもって、身体は成長してもあいつの中身はずっと小学生だったわけ」
「あー、確かにガキだったわ」
喧嘩は良くしたけど、相手に怪我をさせたことなど殆どなかった。まるで子供の戦争ごっこみたいなもんだった。
「柿の実爆弾だとかいがぐり敷き詰めたり、落とし穴とか…田舎ならではの奇策を良く考えてたよね」
格闘の心得があるからこそ、柚月も本気で手を出すことはしなかった。
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