色に出に蹴り我恋は

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「これで更新された筈なので、その付箋の貼ってあるところを訂正して打ち込んで下さい」 「待ってよ、薬丸さん」 立ち去ろうとする柚月の手首を野崎が掴んだ。柚月は冷ややかに見下ろす。 「何でしょう」 「薬丸さんに年下の彼氏がいるって噂があるんだけど、本当?」 野崎の発言に周囲の視線が集まるのを感じた。まずい…大雅もどこかにいるはずなのに。目立つのは避けたい。 「業務以外の質問にはお答えかねます」 「年下流行だよねー、薬丸さんって、真面目そうなのに意外とミーハーなの?」 てめぇ、いーかげんにしろよ。 柚月は素早く足を踏み込んで掴まれた方の手を開き、腕を振り上げた。 手首が外れた。 野崎がポカンとして自分の手を見ている。 護身術の基本だよ。 「失礼します」 そのまま、踵を返して扉へ向かった。 廊下に出て、久しぶりに使った筋肉を解すため肩と首を回しながら歩いていると、背後から誰かが近づいてくる気配がした。 まさか、野崎か? 柚月は身構え、周囲をうかがった。 一発、ここいらで釘を刺しておくか… 肩を掴まれた瞬間、手を振り上げて相手の肘裏に手を差し込んだ。 「いてぇ!」
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