色に出に蹴り我恋は

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それから、柚月はでき得る限り大雅と直接接することを避け続け、それは今のところ上手くいっていた。 異動したばかりの大雅は忙しいようだったし、学生の頃のカリスマ性も今なお健在なようで、その甘い顔立ちと洗練された見た目も伴って大概人に囲まれていた。 柚月はその脇を気配を殺してすり抜ける。 視線を感じたら姿を消す。 くノ一のような毎日を過ごしていた。 大雅が総務部に訪れることがあっても、他の女子社員が競うように対応してくれるので都合が良い。 今も、後輩が手続きをしてくれている。 「薬丸さーん」 その後輩から呼ばれて、柚月は一瞬、凍りついた。 とりあえず顔だけ向けて応える。 「第5会議室のプロジェクターの操作なんですけど、わかります?」 柚月は、舌打ちしたい気持ちになった。 数週間前に最新の設備に入れ替えて、その操作を把握しているのは自分だけだ。
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