さようなら、旦那様

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「いい奴だぞ、中峰」 「そうですね。  私なんかには、もったいない方だと思います」  みんなと楽しげに話している中峰を見ながら真珠はそう言った。 「……あいつについて帰らないということは、このまま一生俺の妻でいるってことでいいのか?」  いや、なんですか、その二択……と横目に桔平を見ながら真珠は思う。 「あの、まだ、有坂さんとは出会ったばかりみたいな感じなので、よくわかりません」 「一応、結婚してから五年経ってはいるんだが……。  まあ、五年経っても新婚って感じってことでいいか」  そう言ったあとで、桔平は、いや、と言う。 「きっと俺たちはいつまでも、新婚のようにいられるさ」  そう言い、真珠の頬にキスしようとして、桔平はやめた。 「おっと、こういう国で外でこんなことしたら、しょっぴかれるかもしれないからな。  日本はいいな、何処でもイチャイチャできて」 「……日本でも道端でイチャイチャしてる人、そんなにいませんよ」
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