スヴァルの噺し

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地下28階 天守閣の床が閉まり、落下中真っ暗闇のなかブレスレットに魔力を流し、甲冑を着たイメージして、甲冑を着る。 「これが最短ルート、赤の魔石の情報もゲット出来たし」 ーー普通に階段で降りたら地下28階まで降りるのに、地下5階からの複雑な迷路を通らないと行けないからすっごく時間かかるんだよね。 下に着く直前にイソロクの防御障壁が展開され、うずたかく積まれている骨に埋もれた。 障壁を展開したまま骨の山から抜け出して、光の入らない真っ暗な空間でタリスマンを出し、光の射すほうに向かう。 ドンと壁に当たり、障壁を解いた。 耳飾りの黒の魔石に魔力を流し黒い刀をだした。 刀を構え、目の前の壁を切った。 アルクトテリウムの首より難なく切れ、壁が崩れ落ちた。 タリスマンの光の射す方へ向かうと暗くだだっ広い空間にでた。 辺りは憎悪で満ちている。 手探りで暗い中を行くと、光は先を射すのに何かにぶつかって先に進めない。 ぶつかったソレはぽにょんとしていてやわらかいが、異常に冷たい。 冷たいソレに触れながら横にずれて、通れる道を探す。 ソレの冷気と圧迫感が上から降って、後ろに跳躍した。 ズシンという音と一緒に空間が揺れた。 敵と認識し居合切りをし斬った。斬った感触はあったが、圧縮した空気を切ったような感触だった。 続けて縦に斬った。 ーー切ったのは間違いない、前に進んでみよう。 一歩足を踏み出した。 そこにはぷにょぷにょとした壁はなく、前に進むことが出来た。 光の射すほうにむかっていくと、両サイドから冷気が迫ってくるように感じて、走った。 膝のあたりまである台で躓く、台に手をついて倒れそうになるのを阻止した。 そして、タリスマンはその台の中を射していた。 台の上部を押し開ける、何も見えないが、耳飾りが光って共鳴して魔石が耳飾りに嵌った。 早速黄色い魔石に魔力を流す。 ーー黄色の魔石は父様が隠した雷の魔石、火の魔石に次いで強いって父様がおっしゃっていた。 雷の魔石なら周りを明るくできるはず。 天井を意識して黄色の魔石に魔力を流した。 雷鳴の轟音とともにあたりが明るくなり、その熱で、天井にあったシャンデリアが灯り、あたりを明るくした。 その瞬間悲鳴を上げた。 ぷにょぷにょした。それは、5m位の大きな球体でゴム風船のような顔がびっしりと全体に浮かび上がり、 うごめいてる。 ーー私あの中を通った?ううん、考えない。手で触ってた?ダメだ、考えちゃダメだ。 球体のそれが手をゆっくり伸ばしてくる。 手にもびっしりと顔が浮かび上がっており、どこを見ているのかわからない目を左右違う方をギョロギョロと目を動かしている。 それを避けて踏み出し、手と球体を切断するが、すぐさまくっ付き、今度は2本の腕をゆっくり伸ばしてくる。 捕まえようと手を伸ばし、捕まえ損ねて、地面に手をつくと地面から黒いモヤが立ち上り、恨み、怒り、悲しみ、恐怖、絶望を撒き散らし出した。 これに飲まれたら、生きる希望を失い、全てに絶望して自殺者が多発するだろうなぁ、荒れ狂う者も出るかもしれない、地上に出しちゃダメなやつだ。 ーーここでどうにかしなくっちゃ。 怨霊が動き回ったところから黒いモヤが広がっている。 ーーゆーれーは怖くないけど、怨霊は怖い、払うのに時間かかるし、集中しなくっちゃいけない。 きっと祈ってる間にミツバちゃんに後ろから刺されそうだ。 しかもこの怨霊、何人集まったらこんな大きさになるの? アマコクに伝わる呪術かなぁ 退魔はあんまり得意じゃないし、天守閣から落とされた人がたくさんいたから集まったのかなぁ 切れないし。お手上げだぁ。 ゆっくり近づいた手に歪みなからも見知った顔が3つあった。 口をパクパクと動かしている。 『ミツバ』『憑依』『呪術』 ーーヨシさん、アシさん、ナシさん、家族のところに帰れなかったんだね。 死んでるから殺せないし、動けなくすればいいよね。 怨霊の動きが遅いのはどうやら、ヨシさん達が動きを弱めてくれているみたいだ。 4つ同時に魔力を流した。動きを完全に止めるために怨霊から木の幹を生やし全体を拘束し、津波を起こして水で覆い、雷を流し、切断で空間を切り取る。 スヴァルは完成したものを見て、うんと頷いた。 宙に浮いたそれは水の檻の中で木に縛られどこか動かそうとすると電流が流れる。 ーーコレで動くことも出来ない。 地上に被害は出ない。 その場を後にして、城の横にある大井戸の壁にある鎹を登っていく。
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