麗しさは永遠に

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近ごろ、かの地では良質の綿が採れると評判になっていた。もちろん、綿よりも絹の方が価値はある。 ただ、日常使いに欠かせない綿は、幾らあっても邪魔にはならない。 近隣諸国は、険しい山を越え、かの地を自分のものにしようと動き始めた。 どうやら、あちらの王は、山を挟んだこの国と、手を結ぼうと決めたらしい。 何か起これども、この国が先へ行かせぬと言ってしまえば、たちまち諸国は、足止めを食らう。 他の方角からの山越えは、道が険しすぎ、馬はとうてい進めない。 仮に戦になった事を考え、姫を所望しているのだと王には分かっていた。 さて、いかがなものか。わが子を、未開の地に送りだすのは、いささか気が引ける。王の心は、揺らいだ――。
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