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「ねぇ。私は、蕃国へ嫁がされるのかしら?」
表側でそのような騒ぎが起こっていると、好奇心旺盛な侍女達に聞かされ、翠蓮の足は地についていなかった。
あまりに急な話に、侍女達も、どう言葉をかけてよいのか困惑している。しかし、自分達が、持ち込んだ話で、主人がふさぎこむのも居心地が悪い。
「そういえば、かの地では、毎日虹が観られるそうですわよ」
「ああ、王宮は、翡翠で飾られているとか」
「まあ、翡翠は、翠蓮様の守り石ではないですか。なんと幸先の良い話でしょう」
――などと、見え透いた歯の浮くような言葉を並べたて始めた。
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