3.3.3

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3.3.3

 女だからダメ、ここにいちゃダメ。そんなことない、負けるもんか、と今まで頑張ってきた。でも、辿りついた今の場所で、わたしはこんなにも苦しい。思い通りにならない。入社当時に思い描いた、わたしの姿はこんなんじゃない。  ピッチングマシンから球が飛んでくる。桜子は慌ててバットを振った。空振り。制限時間はあと残り少ない。このままじゃ一本もホームランが打てない。いつきみたいに、何か叫んで打つんだ。しかし、こみ上げてくるものが多すぎて、声にならなかった。  カッキ―ン。抜けるように長く響く金属音に、桜子は目を上げた。いつきが打ち上げた打球はふらふらと夜空に舞い上がり、放物線を描いて、ネットのホームランマークにぶつかった。 「当たった! これ、ホームランですよね」  コースでいつきがはしゃいだ。その後もバッティングを続けたが、ホームランはいつきの一本だけだった。 「楽しかったです! ボールを打つと、本当に、スッキリしますね!」  満面の笑みで語る、いつきが桜子には眩しかった。 「失望しただろう」  自嘲の言葉が、桜子の口をついて出た。 「偉そうなことを言っても、わたしなんて、こんなものだ」  得意だったバッティングも、仕事も家庭も、ただもがくだけで何もできない。
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