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3.3.4
「高山さん、カッコよかったです」
意外な言葉に、桜子はいつきを見返した。いつきは、もうはしゃいでいなかった。
「うまくいかない時でも全力で立ち向かう姿がよかったです。やっぱりボクは高山さんみたいになりたい」
いつきの真顔の告白に、桜子は顔が熱くなった。恥ずかしさだけではなかった。遠い昔になくしてしまったものが還ってきたかのように、何かが胸にこみ上げてくる。
もう帰らなきゃな。桜子は照れ隠しのように呟いた。
「そうだ、前橋。お前の《天びん秤》とやらは、『プロジェクトを使え』と言ったんだよな」
ふと思いついたことを、そのまま口にした。
「その『使え』という言い方、会社の上の方の人のような気がする」
いつきが目を見開いて、桜子を見つめていた。
《…To be continued.》
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