一大プロジェクト

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一大プロジェクト

「内田くん。電話、田中さんって人」  電話を取った胡桃が、怪訝(けげん)な顔をして瑠偉を見る。 「お! 来た来た! はいはーい」  瑠偉は、小走りで自分のデスクに駆け寄った。 「会社名とか、言わなかったけど?」 「いいのいいの」  後ろ手に手を振りながら受話器を取る瑠偉の姿に、美琴と俊介も顔を見合わせて首を傾げる。 「えっ! マジっすか! すぐ伺います」  電話に出た瑠偉の大きな声が室内に響き、みんなは一斉に顔を上げた。  瑠偉はガチャンと受話器を下ろすと、一目散に俊介のデスクに向かう。 「副社長! この前たまたま飲み屋で知り合った人が、うちの緑化事業の事を知ってて、イベントの情報くれるって言ってるんすよ。行ってきてもいいっすか?」  瑠偉は名刺入れから、一枚の名刺を取り出し俊介に手渡した。  俊介はその名刺を見た瞬間、「えっ」と驚いた表情をしてまじまじと見つめる。  それは有名なアウトドア用品の、会社名が書かれた名刺だった。  俊介が、しばしその名刺を手にじっと考える様子を見せていると、ガチャリと入り口の扉が開いた。
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