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息を切らしながら、遊歩道を駆け足で登る。
さっきまで美琴が掴まっていた、木の根っこが飛び出した崖の横を通り過ぎ、はぁはぁと肩で息をしながら坂道を登りきる。
すると突然、開けたようにあの写真の景色が目の前に広がった。
「そうだ。この色に目を奪われて足を滑らせたんだった……」
滝から勢いよく流れ落ちる水は飛沫をあげ、辺りには白く細かい泡が広がっている。
その下には、まるで宝石でも隠しているのかと思うほど鮮やかな、コバルトブルーの色が揺れて輝いていた。
美琴は目を凝らして、何度も周囲を見回した。
風で高い木の葉が揺れて、影がちらちらと動いている。
誰かがいる気配がして、美琴は慌てて振り返る。
でも、そこには誰もいなかった。
「はぁぁぁ……」
美琴は深くため息をつき、その場にへたり込む。
「もしかしたら……もしかしたらいたのかも知れない。私を助けてくれた人の中に、あの人が……」
ざぁざぁと落ちる滝の音が、いつまでも耳の奥で響いていた。
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