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「お疲れー」
眠そうな声と共に、部長が滝山と一緒に部屋に入ってくる姿が見える。
部長の姿を確認すると、俊介は小さく自分に頷いてから瑠偉を見上げた。
「内田くん。わかりました。ただし、部長と一緒に行ってください」
突然名前を呼ばれた部長は、訳がわからないという様子で目をぱちくりさせる。
事情を説明された部長と瑠偉が部屋を出て行った後、口元を緩めほほ笑んでいる俊介の顔を美琴が覗き込んだ。
「なんだか楽しそうですね。どうしたんですか?」
俊介は美琴の顔を見上げると、こらえきれない様子で声を立てて笑った。
「どしたの?」
眉をひそめた健太が、パソコンの間から顔を覗かせる。
「いや。やっぱり部長の人選は確かだなと思って」
「ど、どういうことですか?」
滝山は、美琴と目を合わせながらしきりに首を傾げる。
「内田くんの、コミュニケーション能力の高さは天性のものですね。もしかしたら、良い話が聞けるかも知れません」
俊介の含みを持たせた笑みを、みんなは不思議そうな顔で見つめていた。
そしてその日の夕方、戻って来た二人が持ち帰った話に副社長室は大騒ぎになる。
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