弐号器始動①

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弐号器始動①

 大願成就で満足してはならない。季節は冬。その日のうちに焼くのが礼儀。  いつもの美味しい冷凍食品を買えば、レンチンして、プレートで焼くだけ。経済的だし失敗いらず。  よし。買い物だ。  せめて青のりくらいは高そうなものでも買うか?  と思案していたが、お粉コーナーでかんたん便利な粉を発見した。そうね、ちゃんと焼こうじゃないの。  初号器を迎えた20年前。  初号器を失った10年前。  夢を追い続けた10年間。  お粉には目もくれずいたので、大変便利な世の中なんだなと、しみじみ思うよりも吟味開始。  天かす・青のり・鰹節セット……だと?  安いじゃないか、買いだな。40個用だから2回転か。楽しめそうだ。  卵とマヨネーズはあるから、あとはタコさんか。ソースはいっそ専用として買ってしまおう。  タコさん、高いな。ソースを100均にランクダウンさせよう。ランクダウンと言っても、一時的な価格が抑えられるだけで、(グラム)単価の換算はアップする。そこはこの際、得意の気づかぬふりにて買い物を終える。  自宅に戻ると恒例の【猫さぁんチェック!】。大好きな、でも知らない段ボールをくんかか夢中なうちに、私は支度準備に夢中となる。  ん、待てよ。タコぶつサイズは入らないよね。一体どのくらいの大きさでカットすれば……まぁいいか、このくらいで。作れる分のカットタコの残りはワサビ醤油でいただくとしよう。もう、なんでもありだ。  次は、セットの天かす・青のりを出しておこう。 ──! 《これが全ての量です。上手く分配してね》  のような文言が注意書きとして粉袋の端っこに書いてあった。少なくね? 全量がプレートの1つの穴分だ。混ぜてから散らせと。なるほど分かった、やりましょう。  ダマの浮いた液体も作った。  お手製油引きも作った。これを買わなかった理由は、きっと邪魔になるから。  え〜っと。予熱、油、待機。  ゴー!
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