*.+゚*.+゚ ピックマスター *.+゚*.+゚

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*.+゚*.+゚ ピックマスター *.+゚*.+゚

 ふぅ。カレーが食べたい。  こうも毎日たこ焼き三昧だとね、ほら、刺激物がほしくなるというか、なんかね、そんな感じで。  カレーへの浮気を許したのは、たこ焼き飽きちゃったら大変なので折り合いをつけるのも大事だという判断から。  ご飯が私のすべてを形成していると言っても過言ではないくらいお米大好きなので、夜にお米を摂取しておかねばならない理由もあった。  たこ焼きの難点は、食べるまでの時間だ。  しかも2回転するので、インターバルによって満腹中枢が勘違いを起こしてしまうところが困りもの。その他おかず、ましてや「ご飯など受け付けません」と言われてしまうので厄介だ。  たこ焼きは私にとっておやつだったのに、自家製が可能になった現在では晩御飯と化してしまった。  昼間焼けばいいのに。  だがそれはできない。昼間は昼間の過ごし方があるから、夜に焼くことを許容するしかないのだ。  さて、最近オープンしたスーパーが激安セール実施中とのこと。タコさん、安いかな。  行ってみた。  安かった!  驚き価格100gあたり¥250!!  焼きましょう♪  弐号器の購入から2週間あまりたって気づいたこと。誤って具材を2個入れしてしまった時のハッピー感のすごさ。  具材は大きめにカットするのではなく、小さめカットで2個入りの充実感を堪能するという境地にたどりつく。  先人たちの、失敗からの学び・発見に近づけた気がした。  増える具材、はみ出す生地。これらをキレイな球状に仕上げられたらピックマスターの称号を獲得できる。  生地が多すぎの半ナマで「クルン」の時ピックにまとわりつき、ピックが太くなったこともあった。  バサバサをしまいきれず、もたついてる間に他の子たちが焦げ付いたこともあった。  お皿にすくい上げるとき、すっ飛ばしてしまい無駄にしたこともあった。  大小さまざまもあった。  あとなんだか色々あった。  そして私は、称号を手にするための完璧な焼きに挑んだ。  下準備は完璧。小皿が一列に並んでいる。圧巻だ。  生地にもダマはない。  よし、行こう。  こなれた手つきで着々と、ピック使用領域まで事を運ぶ。しばし待機。  今日は良い湯気が出ている。  ドックン、ドックン、ドッ……クン。  きたか。  私は勢いを止めることなく一気に攻撃を仕掛ける。 「クルン♪ ちょちょん、クルン♪ ちょちょん」  時折転がしてみると、つなぎ目なく素敵な球状になっている。焦げ目も食欲を誘う、良い色味(いろみ)をつけている。  きたか!  この日、私は称号獲得に成功した。 「ピックマスター」という名の称号を。  教訓  飽きに注意。
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