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星の王子さま
僕は 考え深い子ども だった
幼い頃から 僕の生活空間には
母が『使用人』と 呼ぶ人々が
生活の中に 常に 何人もいた
住み込みで働いている人もいた
24時間 家族以外の人がいる
家庭は僕の生き方を複雑にした
例えば目の前に みかんが5個
使用人が5人いたら僕は 絶対
みかんを食べない という具合
母に叱られた使用人がいたなら
僕も同じことして叱られてみる
僕はもっとひどく叱られてみる
そんなことで平和を維持できる
と 考え いろいろ試してみた
誰かの辛い顔を見たくなかった
僕は普通の家が 羨ましかった
家族だけで暮らしてみたかった
気遣いない気楽な生活に憧れた
学校でも 同じような気持ちで
仲間のケンカをやめさせたくて
僕は頓珍漢な悪役を演じていた
先生は案外 僕の企みを見抜き
まるで僕は叱られなかったから
僕は図に乗り演技が上手くなり
4年生までは迷いなく演じてた
5年生になった時 なぜか急に
僕は 演じる意味を 見失った
担任の先生があまりに身勝手で
露骨に僕をえこひいきしたから
背の高い 若い新婚の男の先生
宮澤賢治が好きな 岩手大学卒
という経歴で奇妙過ぎる自己中
友だちが僕に食ってかかるほど
僕が仲間はずれになるほど に
先生は僕を えこひいき した
えこひいきという イジメ だ
僕の生き方は 大きく変わった
その先生は今でも僕に出会うと
思いっきり僕を抱きしめてくる
昔から ただ僕が好きだったと
あっけなく言ってのける けど
その先生の出現 で とにかく
僕は 変わるしかなかったんだ
僕は 友だちを求めなくなった
僕は 毎日のように山へ行った
カメラを持って彷徨い写真撮影
木や草や虫や動物を スケッチ
家に戻って 音楽を聴きながら
スケッチを仕上げて詩をつける
今の自分とほとんど同じことを
始めたのは その頃からだった
星の王子さまが大好きになって
星の王子さまの心になりきって
地球という星を歩き回っていた
何が幸せか不幸か わからない
運命は努力とは何の関係もない
人間関係の駆け引きから離れて
真実だけを見極めたいと思った
その憧れが時を経て 今の僕を
作り続けているという 不思議
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