ひ と り

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ひ と り

f01d4f06-f179-4522-b651-bf4fb13a51e5 僕には 友だちがたくさんいたけれど ひとり で 遊ぶ時間 を とても 大切に感じていた ひとり で 何をする か ひとり で 何が楽しいか ひとり は ただ   ひとり  というだけで わくわく する いつも 友だちと通る場所 で ここは ひとりで来てみたいと 憧れてしまう場所ってあるだろ そんな場所には 朝早く起きて こっそり ひとり で行くんだ 誰にも 見つかりたくないんだ 何も 悪いことは しないけど ひとり の 世界は色が違うし ひとり の ぼくは誰でもなく ひとり の 時間は無限に深い ひとり に 埋没する 安堵感 ひとり で 浮遊する 解放感 ひとり を 完結したい 欲望 たとえば釣りをする気持ちかな そこで どんな獲物が釣れるか 黙って たたずみ考えることで 不可思議に広がりる空想世界で 自分だけに見えてくる幸せな時 という 喜びを釣っていたんだ もちろん本当に釣り上げた魚は キャッチ&リリースしたけれど 心が釣り上げた 幸せな時間は 僕の細胞に吸収され僕になった 今 釣り上げようとする幸せは とても複雑な迷路の奥に潜んで 釣り糸を切って逃げ出したいと 正直 僕は 弱気になっている 大人になってしまった僕はもう どこにいても ひとりではない 人間は誰一人 ひとり ではない   人間という連帯責任を負っている 誰が犯した どんな残虐な行為も 人間がしたこと に変わりはなく 僕ら 人間がしたこと であると 僕は 連帯責任を持つべきと思う 自分は関係ないと思えた無知の罪 自分は関係ないと思えた無知の幸 食糧も燃料も 清涼な空気や水も 皆で分け合って支え合わなければ 人間は平和に 生きられないんだ 分け合ってこそ 地球は豊かな星 奪い合えば常に 地球は貧しい星 誰もが ひとりでは生きられない
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