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5f52f51f-9c15-484e-ace0-9c6644030f78 確か 小学校高学年の遠足の時 遠い山の上の 牧場まで行った 距離にして片道10キロ以上かな 帰り道 大きな犬がついて来た 誰について来たというでもなく ぞろぞろ歩く子どもたちの群れが 面白かったからついて来たんだと思う その犬がいつの間にか僕についてきて とうとう僕の家まで 犬はついてきた 僕が家に入っても 犬は 玄関の前で ずーっと 僕を待っているらしいので 僕は 犬と同じような 無邪気さ で 犬と いっしょに その辺を散歩した 次の朝 学校へ行こうとしたら まだ 玄関の前で 犬は 僕を 待っていた 学校が終わって帰る時も 犬はまるで 僕の犬みたいに 僕についてきたんだ 何日くらい そんな日が続いただろう 僕は人間の友だちみたいに犬と遊んだ だけど だんだん 心配になってきた 本当の犬の飼い主が心配してるはずだ ばあちゃんに 犬のこと 相談したら まかせておけ! と 頼もしい返事だ 次の日の朝 玄関前で僕を待っていた 犬を ばあちゃんは 追っ払っていた 大声で怒鳴りながら 長い竹ぼうきを 激しく振り回して 犬を 追い払った 犬は キャンキャン鳴きながら抵抗し 追い払われてもまた近くに戻って来て 何度も何度も ばあちゃんは追い払い 何度も何度も犬は戻って来るのだった 僕は 深く考えずに犬と仲良くなった 罪を意識し 胸が痛み 泣きたかった けれども僕は ばあちゃんの勇敢さに 度肝を抜かれるほど感銘を受けていた 犬はとうとう ばあちゃんに 負けた 犬は多分 自分の家に帰った と思う 僕は その時の体験がトラウマになり 人や動物との 適切な距離感を意識し ヤバい予感がよぎった相手とは 特に 無防備で親密にならないよう心掛けた 依存的関係は必ずお互いの負担になる 自由な風のように さらさら生きよう ※ だから・・・ という お説教は   受け付けます(苦笑)
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