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「っていうか、俺、一花ちゃんが告白されたとか、聞いてないんだけど?」
「えーと、昨日の話だったので?」
「ショックを受けたということは、好きだったってことでしょ? まさか、OK出してたの?」
「いや、正確に言うとですね、告白されたけれど相手のことをよく知らなかったのでお断りしたんです。ただの顔見知りなので」
「顔見知り」
「はい。でも、あんな濃厚シーンを見せられたので、あの告白ってなんだったのかとか、悩んだ私の時間を返せとか、むしろ私をネタにした嘘告白だったんじゃないかといろいろ考えまして」
「一花ちゃんが素敵な女の子だって気がついた点は誉めるけれど、俺の一花ちゃんに告白するとか許せない」
っていうかなんで、私が怒られているんでしょうか?
「なんで断ったの?」
「えーと、ですね」
「一花ちゃん?」
「……好きなひとがいるからでs!」
すみません、ソファに押し倒されてるんですけど!
「……誰?」
「な、何がですか?」
「一花ちゃんの好きなひと」
「えーと、言わなきゃダメですか?」
「ごめん、優しくできないかもしれない」
「ちょっ、ちょっと、思い詰めないで! 言います、言います、あなたですよ! っていうか、好きじゃなかったら、どうして何年もここに通い詰めてると思ってるんですか!」
「オムライスが美味しいから?」
「いやむしろ、なんでそこ? 確かに、好きだけど! イケメンの癖に女心に疎いとか何それ!」
「俺、すっごくアピールしてたのに」
「アピールし過ぎてて、チャラ男の社交辞令みたいでしたよ」
「やっぱりこれから夜明けのコーヒー、飲もう? がぶ飲みしよう?」
「展開がはやすぎるので、落ち着いて! ちょっとずつ、仲を深めていきましょう! 今日から私は陽斗さんの彼女。ね!」
「もうすぐオレンジデーだから、プレゼントは楽しみにしててね」
オレンジデーってなんだよ!
よくわからないけれど、陽斗さんが記念日好きで助かった……のかな?
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