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「そうだ。ただでさえ北署管轄には『不動会』というやくざを抱えてて、そのお陰で何かと忙しいのに、そんな若年層犯罪組織まで……。
お陰で仕事が盛りだくさん。やってもやってもキリがねえ」
日比野はため息をついた。
「噂では、『不動会』入りする前の予備軍って話ですけど……?」
幸司が聞いたことある噂の真相を尋ねると
「誰も本当の所は分からねえが……な。そう考えるのがセオリーってもんだ。普通、親と子は、同じ場所で育つもんだろ?」
日比野は心底嫌そうに答えた。
(不動会に入る前の、若年層ちんぴら組織……やくざが将来使えそうな人間を育てる為の、体のいい組織なのだろう。使いっぱみたいなものかな?)
日比野と別れ、辞令書を受け取った三階会議室を出た。
(道理で、北署管内の犯罪が減らない訳だ)
そのまま警察署内奥のエレベーターで、刑事課のデスクがある一階に出た。
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