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「おいおい…今さらナシになんて出来ないんだぞ」
スマホに入った連絡先をスクロールしていく僕を、佐野が捲くし立てる。
「もう場所も押さえてるし、向こうはもうすぐ着く頃だ」
夜の公園に人影なんかないのに、やたらと周囲を見回しながら、落ち着きなく鼻の付け根の辺りを指先で擦る。
普段、眼鏡をかけている彼の、焦った時に出る癖だ。
「わかってるって。だから今、こうやって探してるんじゃないか」
液晶画面を指差して反論するが、佐野はイライラした様子で深い溜息をつくだけだった。
彼の上から目線にも困ったものだ。
スマホとの睨めっこを続けつつ、また佐野が文句をつけてくる前に口を開く。
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