真冬のロックンロール

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私はずっと、音楽を…歌を探していたんだ。 私の真ん中の、芯まで響く歌を。 そんな歌を歌ってくれるひとを探していたんだ。 それがキノなんだ。やっと見つけた。 彼の歌に出会ってから、ほかのすべての歌が霞んでいった。 彼の歌だけが残って、私の芯に水と光を与えてくれた。 芯は木の幹のように育ち、太く、高くなって、いつの間にか、私の支えになっていた。 プラネを聴くようになってからだろうか、仕事がうまくいっている。この前も上司から「なんだか顔つきが変わったね。このごろミスもないし。何かいいことあったの?」なんて言われてびっくりした。 そう言えば、以前はコピー機の扱いにも自信を持てず、職場ではいつもおどおどしていた。 最近は背すじが伸びて、ちゃんと地に足がついているような気がする。 ふと思い出した。 初めて彼らのMVを見た時、なぜあんなに涙が出たんだろう。 映像の茜色はとても美しい。 4人ともかっこいい。 初めて聴いた彼らのロックンロールは、それまで聴いた音楽とは違う、特別な存在感がある。 そういう理由だけで涙って出るものかな…。
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