日常 その10

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日常 その10

弦たちの人生 日常その10 俺はゲン ただのサラリーマン ただのアラフォー 取り立てて なにもない 普通が一番 平凡二番 なんだかなぁ 言わずと知れた ウクレレくんだが すごいグイグイくる コンサートウクレレだからか どっちの立場にもなる 恐ろしいやつだ そしてグイグイくる (2回目) 一応、俺ね、 前の彼女にフラれて 傷心中なわけ グイグイ来られても (3回目) はあ、今日も仕事だ たまには気分も 変えたいものだが ダメだ疲れすぎて・・・ 〖おはようございます☆ポロン☆〗 「お・・・はよ・・・」 〖瀕死っぽいじゃないですか!?〗 「もうね・・・ここ最近、激動すぎてね・・・」 〖僕の音色で癒されてください☆ポロロン☆〗 「あ、大丈夫、もう聞き慣れてるし」 〖酷くないですかぁ?〗 「そういえばお前さぁ、声帯だの音色だの、よく言うけどさ」 〖そうですね!ウクレレの命ですね!〗 「コード押さえてるとこ、見たことないんだけど」 〖ギクッ〗 「ん?なんか俺、地雷踏んだ?」 〖踏みましたね・・・踏み抜きましたね・・・〗 「そ、そんなに重要なことだったか?」 〖あのですね!僕、手足がないんですよ!ポロロン!〗 「そうだなぁ、見当たらないよなぁ」 〖なので、自力でコードを押さえられないんです!〗 「あー、いつもはN.C.なのな」 〖そうですよ!ウクレレなのに、いつもは開放弦なんですよ!〗 「弦楽器の醍醐味、全く使ってないのな。把握」 〖把握しないでください!ポロン!ポロン!〗 「その〝ポロン〟ってつまり、チューニングしてるときのGCEAな」 〖もううう!いやだーーー!〗 「なんの拒否反応かわからんが・・・?」 〖人間で言うと、裸で歩いてるようなもんです!〗 「つまりお前、いつも全裸ってことな、把握」 〖把握しないでくださいいい!〗 「なんかお前、いつもより弱くね?」 〖誰か・・・Cコードとかだけでも・・・押さえて欲しいです・・・ポロロン・・・〗 「Cコード?」 〖ウクレレを始める時、最初に覚えるコードです☆〗 「へぇー・・・(?)」 〖ちょっと僕の後ろに回って、首(ネック)の、1弦3フレット目、左手の薬指で押さえてもらえません?〗 「うむ?こうか?」 〖はーい!これがCコードです☆ポロン☆〗 「ほう、今の〝ポロン〟の音、少し変わったな。確かにこれは簡単だ。ここから覚えるというのも頷ける」 〖そして・・・///先輩・・・///〗 「え、また、なに?その感じ・・・」 〖今・・・僕のこと、バックハグしてるの、分かりますか・・・///〗 「あ」 〖しかも、左手の薬指、僕に捧げてますよね・・・///〗 「いや、お前が誘導したからだろっ」 「僕とCまで、いきませんか///」 「昭和生まれまでしか解らんネタはやめろぉぉぉ!」
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