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「え……? 」
「ねぇ、うんって言って 」
突然の告白に、駒津は固まる。こんなこと言われるなんて思っていないから、心の準備が何も出来ていない。
「でも、お前は長男で、家の跡取りで…… 」
「そんなの、もう何も関係ない。俺のことでコマが気にすることなんて、負い目を感じることなんて、一切何もないんだよ? 」
柔らかく優しい声は、コマの気持ちを何もかも分かっているみたいだ。
「今度は俺んこと、受け入れてよ。コマのことが心配なんだ。お前のこと守る権利を俺に頂戴。俺、その為なら何でもするから 」
お願い、コマ……。頤に触れる指先は震えていた。
「うん……、んっ?!」
頷いたら、噛み付くみたいなキスに捕らわれる。熱い舌が侵入し、隠れていた駒津を引きずり出す。絡められて頭の芯が痺れた。
抗えない。身体の線を地場の長い指が伝うのに気付いても、手足に力が入らない。
口唇を重ねることに、こんなに感じてしまうのは初めてだった。
地場の瞳に、仄暗い光が揺れる。けれど、あまい口付けに溺れる駒津は気付くことは無かった。
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