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つか、コイツ、さっき変なこと言わなかったか?
けれどその違和感は、続けられた地場の言葉に消されてしまう。
「それとさ、コマ。ちょっと気になることがあるんだけど…… 」
そう言って立ち上がるとキッチンに向かい、幾つかの郵便物を持って戻ってきた。
地場がそれらをそっとローテーブルの上に置いたのを見た途端、駒津は眉を顰める。
「お前…… 」
「俺じゃないよ 」
それは、ガスと電気の振込用紙の入った封書と電話会社やDMの圧着葉書だったが、……封筒は乱暴に開けられており、葉書も全て糊が剥がされ、くるりと外側に反っていた。
「別に大したもんは届いてないからいいけどさ、一応俺宛なんだから…… 」
「だから、俺じゃないって 」
じぃっとアーモンド色の瞳を見つめるが、澄んだ瞳はとても嘘を言っているとは思えない。
意図していないのに、喉がコクンと音を立てた。
「じゃ、じゃあ、コレはなんなんだよっ! 」
「コマ 」
「お前じゃ、ないってんなら…… 」
そもそも、何で家を知った? まさか、つけられた?
「アイツ、お前に絡んだだけじゃなく…… 」
「コマ、落ち着いて 」
「落ち着いてられるかよ!! 」
怒鳴ってしまって、ハッとした。地場が綺麗な瞳を悲しそうに細めたからだ。
「悪い 」
「いいよ 」
ローテーブルに置いた駒津の手に、大きくて温かい手が重なる。
「あのね、無理かも知れないけど、落ち着いて聞いてね。怖がらせたくなかったから言わなかったけど、コレをみつけたの、今日じゃないんだ 」
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