君の聴いているのは 僕が聞きたいのは…

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君の聴いているのは 僕が聞きたいのは…

君は登校する時いつも聴いている。電車の中でも、校門まで友達と歩く最中も、お昼休みにお弁当を食べてる時も。 最新のコードレスブルートゥースイヤフォンは小さくフィットして目立たないから誰にも気づかれない。でも僕は知っている。 ある晴れた風の穏やかな休日。とある春の日。 公園の木陰のベンチでひとり座り、君はイヤフォンで聴いている。 パンダの遊具で遊ぶ親子や日向ぼっこをするお年寄り、ウオーキングやペットの散歩をしながらすれ違う人々。 僕が聞きたいことは1つ。 「ねぇ 何 聴いてるの?」 学校でも、塾でも、登下校中でさえ声をかけたことがないのに、思わず言ってしまった。<<しまった>> 「えっ?!」 わたしは聞こえないフリをした。 「今 何て曲聴いてるの?」 「えーとね」 「いや、いやだったら聞かないけど…」 「嫌ではないわよ。何も聴いてないから、いつも」 「どうして?」 「あなたに聞かれるの待ってたから」 ドキっとした。 春の陽ざしが眩しい。僕と彼女の耳に柔らかな風の音が通り抜けた。
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