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「教諭の皆さんや運営側はそれぞれの科同士の隔たりを認識し、問題点として挙げながら、今まで何一つとして具体的な対策を取ることはありませんでした。それはなぜですか?」
その答えを有馬は察することができた。
学科間の軋轢を問題視しているという姿勢は教育機関としての建て前であり、本音は部活の全国大会においての成績や偏差値、難関大学への進学実績への影響が懸念されることから、見てみないフリをしておきたい案件なのであろう。
頼弥は質問を投げかけるが、答えを求めることも推測することもしなかった。ただ数秒口を閉ざし、大人たちを見つめた。
怖いくらいに整った頼弥の無言の眼差しは畏怖さえ感じて、教師たちは一様に居心地悪そうにしている。
「自身と異なる価値観に触れることは視野や可能性を広げることに繋がる。未来に必要なのは多様性や総合力。自分の得意なことだけをこなしていれば済む時代はもう終わっています」
はっきりと言い切る頼弥に、どこか胸がすくような気持ちがあった。
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