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それでもやっぱり有馬にとっては他人事だ。
何かを変えようと行動に移すのはすごいことし、素晴らしい考えなのだろう。
だけどそんな風に考えられるのは、余裕があるからに過ぎない。
有馬にとっては学園の変革よりも、弟や妹の進学費用の方がずっと大事だ。
一円にもならない生徒会長に自らなろうなんて酔狂にしか思えない。
「学園のために生徒がいるのではなく、生徒のための学園であるべきだ」
一人が拍手をし始めると、それは一気に講堂全体に広がっていく。
頼弥の放つカリスマ性と、放たれる言葉の力にその場の全員があてられたみたいだった。
歓声や指笛も聞こえて、熱狂の渦のようなものに包まれる。
有馬は拍手をしなかった。ただその渦の中、男を見ていた。
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