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「佑也も生でいいか? 肉はとりあえず盛り合わせを頼もうかと思うけど」
訊ねながら、卓上の呼び出しボタンを押す。
「うん、サンキュ、兄ちゃん」
屈託なく笑う弟に、有馬の相好も自然と崩れる。
寮のある高校への進学を決め、上京したのはすでに十年以上も前だ。大学も就職先も都内だったため、この三つ下の弟、佑也を始めとした三人の弟妹とはずっと離れて暮らしている。
けれど今年の春、佑也が都内の編集プロダクションへの就職を決めてこっちへ出てきた。上京してすぐの頃には何度か夕食を共にしたけど、互いに忙しく、会うのはこれが三カ月ぶりだった。
「どうだ仕事は?」
とりあえずの生ビールで乾杯をして、網目の上に次々と魅惑の赤と白のコントラストを広げていく。
「めちゃくちゃ忙しい。未だに引越しのダンボール片付いてないし」
目の前の顔は苦く笑って見せるが、どこか充足感も感じられる。
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