第3話

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第3話

 生徒会長立候補のスピーチを行ってからの頼弥の人気ぶりは、これまでのものと比べて異質だった。  有馬の中学時代にも、サッカー部で主将を務めていた同級生が、その整った容姿から学年問わずモテていて、ファンクラブみたいなものが存在していた記憶がある。だけど頼弥の場合は規模というより次元が違うような気がした。  芸能人ということもあるのだろうが、ただの好意というより崇拝に近いように見えた。女子のファンに加えて同性の取り巻きが多いところがそれを象徴している。  あのスピーチ以来、発言力や存在感は教師からも一目置かれていた。 投票前から、頼弥が圧倒的大差で会長に当選するのは誰の目から見ても明らかだった。  だけどそんなことは、勉強とバイトに明け暮れる有馬には関係のない話だ。しかし、有馬がそれを願っても、学園中がそれを許さなかった。  すべてほんの一瞬で有馬を渦中に放り込んだ男のせいだ。
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