第3話

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 売店で買ったおにぎりを校舎裏で食べながらバイト情報誌を開く。以前まで昼食は食堂の一番安いランチセットを注文していたが、最近は突き刺さる視線が居心地悪く、何より時折頼弥に襲撃されることがあるので避けていた。  あの時。突然生徒会役員に指名すると告げられた有馬の答えは、当然『NO』だった。 「断る」と短く返答すると、頼弥は不敵な笑みを深くして、「また声を掛ける」とだけ告げ、自分の席へと戻っていった。  その言葉通り、頼弥はちょくちょく有馬の前に現れるようになったのだ。  有馬にとってはまさに青天の霹靂で、まったく意味がわからなかった。 「なんだ? 昼飯食ってる時まで勉強してんのかと思ったら、何読んでんだ?」  不意に頭上から聞こえた声に、有馬は弾かれたように顔を上げた。作り物のように整った顔が有馬を見下ろしている。  有馬があからさまに舌打ちをすると、頼弥は、「そう嫌うなよ」とまたあの意味深な笑顔を浮かべて隣に座った。
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