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「メシそれだけか?」
頼弥が有馬の傍にあった横長のプラスチックの箱を指差す。そこには握り飯が二つ入っていたが、今はもう空だ。
「別に関係ないだろ」
素っ気なく答えると、横から白い物体を差し出された。
「食えば?」
パンの間にぎっしりパストラミビーフが挟まれたサンドウィッチ。条件反射で唾液があふれた。それでも理性で欲求を抑えつけて「奢られる理由がない」と突き返す。
「対価だ。話を聞いてもらうための」
理由はあると言われ、それでも納得できないでいると頼弥は続けた。
「もう買っちまったんだ。食わないと勿体ないだろ?」
胡座をかいていた有馬の膝にサンドウィッチを載せ、頼弥はさっさと袋から自分の分を取り出す。有馬は食べたことがないが、カフェテリアに売っているランチボックスだろう。色とりどりのおかずが、小分けに敷き詰められている。
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