第3話

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「別に実害ないからどうでもいい」  結局はこの答えに行きつく。  頼弥は「ふーん」と興味があるのかないのかわからない相槌を打つ。  頼弥がそれきり話すことをやめて、黙々と食べるものだから、有馬も無言で極上のサンドウィッチを食べ進めた。  ちゃんと口の中の物を飲み込んでから、再び頼弥が尋ねてくる。 「バイト替えるのか?」  傍らに広げたままで置いてあった冊子を、視線でさす。 「いや、増やす」 「は?」 「土曜日に長時間働けるところをもう一つ入れたい」  平日は授業が終わってからしか出勤できない上に、今の有馬では夜22時までしか働けない。その関係で今のバイト先であるレストランでは、ショートタイムの契約になっている。 「そんなに稼いでどうすんだか」  小馬鹿にしたような言い方に腹の奥がカッと熱くなる。だけど有馬はすぐに短く息を吐いてその熱を逃がした。  怒っても、熱くなっても、なんの足しにもならない。気力の無駄遣いだ。  規格外に裕福な頼弥が、有馬の状況を想像できないのも仕方がないことだった。
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