第3話

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「そもそも、なんであんたは俺に固執するんだ?」  有馬は素朴な疑問を投げかけた。一度はっきりと断っているにもかかわらず、執拗に勧誘する理由に見当がつかない。 「そんなもん、俺が気に入ったからに決まってるだろうが」  ニンマリと笑って、いけしゃあしゃあと答えた頼弥を、不快さを隠さない目で見つめた。そんな有馬の態度は意に介さず、頼弥は話を続ける。 「学園全体を巻き込むにはそれぞれのトップを引き込むのが手っ取り早い。それにお前は発言しなくても説得力があるんだよ。ズバ抜けて頭がいいことは証明されてるし、くわえてその見た目。ビジュアルが与える影響ってのはやはりでかいからな」  自分こそがその証明だというように、頼弥は長い前髪を指でかきあげた。他の人間がやればただのナルシストにしか見えないだろうに、頼弥の仕草は自然で様になっていた。 「今はまだ垢ぬけてねぇし、芋くさいけど、ちょっと手入れすりゃ、お前は確実に化ける」 「余計なお世話だ」  有馬の冷静な声に、頼弥が白けたように肩を竦める。
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