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「それぞれのトップを引き込んでおきたいっていうあんたの考えは理解できる。確かに合理的だ。だけど俺は何をどう言われても役員を受けることはできない」
頼弥の目を見て告げると、有馬はサンドウィッチが包まれていたフィルムを、握り飯が入っていたプラスチックケースに押し込める。
「大体、俺やスポーツ科のトップを取り込まなくても、あんたの人気だけでもうどうにかなるだろ」
そこまで言って有馬は立ち上がった。
「サンドウィッチごちそうさん」
見上げてくる整い過ぎた顔に礼を告げてから、有馬は男を置いて歩き出した。
「割のいいバイトのあてあるけど、興味あるか?」
数歩進んだところで有馬は足を止める。
そのまま通り過ぎるには、聞こえた声はあまりに有馬の耳に魅力的に響いた。
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