その運命の結末は

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「5分ほど前にこちらに送られて来る筈だった魂が、まだ現世にいるようだ。」   冥府。死者の魂が、大抵の場合……現世に留まる亡霊にならなかった場合、まず最初に行き着く場所。天、人、修羅、畜生、餓鬼、地獄へと通じる六つの門が有り、冥府の主である閻魔大王と、死神達が居る。  死神達は、人が死ぬ10日前から死ぬ人に憑いて観察し、時が来れば死を見届け、魂を冥府へと導き、裁判で魂の今後の行き先を決める。  その際、魂が人間界を彷徨う事や、冥府への道で迷子になる様な事の無いようにする。  死を見届ける前に見失う、死ぬべき運命を捻じ曲げる事は絶対にあってはならない。  また、罪を犯しすぎた人には、天罰を下し殺す。天罰により死んだ者は、大抵の場合、地獄行きとなる。 「日本国在住、佐藤蓮。今日、交通事故で死ぬ筈だった魂だ。まだ生きているのか、それとも亡霊となって彷徨っているのか、どこかで迷子になっているのか。」 「彼の担当は、小野小町だった筈です。彼女に限ってそんな間違いがあるとは思えない。何か事故にあっていなければ良いのですが。」 「しかし、連絡が取れません。行方も分かりません。何かあったと考えるしか無いでしょう。」  小野小町。初代冥官、初代死神である小野篁を祖父に持つ。死神歴は約1120年と永く、亡霊化は今だ零、魂の導きも天罰も、100%成功してきた優秀な死神である。 「佐藤蓮が生きていた場合、10年後生まれる運命の命が生まれなくなる。亡霊化しているのだとすれば、今後悪霊化する可能性もある。  半年……いや、3ヶ月だ。3ヶ月以内に探し出し、魂を回収するのだ。小町も一緒に探し出せ。死神は天罰を下す力を持つ。何か起きてからでは遅い。」 冥府の主、閻魔大王は死神達の上司であり、命令は絶対である。こうして死神達による、1柱の女神と1人の少年の捜索が始まった。
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