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僕が生まれる少し前、社会は大きな変化を迎えた。
「怪獣」の出現だ。その存在は約三十年前から突如として確認され、世界を混乱へと誘った。
どこからともなく現れた怪獣たちは世界で猛威を振るい、全世界の人口が十分の一になるほどにまで世界を震撼させた。
加えて、世界を恐怖のどん底に陥れたのは怪獣の存在だけではなかった。「怪人」だ。人類が持ちえない特殊な異能を持つ人々のことを「異能者」と呼ぶのだが、とりわけ怪人は悪事を働く異能者のことを指す。
怪獣とともに怪人が世界を根底から揺るがせた三十年前の事件を、現在では「第一次怪人獣災害」と呼び、語り継がれている。怪人獣災害は怪人が怪獣を生み出したために起きただとか、怪獣によって怪人が生み出されたために起きたといったような、卵が先か鶏が先か、みたいな議論が現在でも繰り広げられているようだ。
悪事を働く異能者がいれば、正しいことをする異能者もいる。第一次怪人獣災害を収めたのはそんな人たち、「ヒーロー」だった。
ヒーローは正義の心を持つ異能者の集団らしい。詳しいことは厳密には分からないが、歴史の授業でそんなことを言っていた。彼らヒーローの存在によって第一次怪人獣災害は終結した。
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