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「ねえ、父さん。もしかして、ふざけてる?」 ソウマの顔を見たらすぐ笑顔になって、ちょっかいを出してくる父さんは、テレビの画面を眺めたままだ。 「母さん!そんなところで止まってたら、危ないじゃん……」 帰ってきたらいつも優しく「おかえり」と言ってくれる母さんは、リビングの真ん中で立ち尽くしている。 「どうしたのさ、ふたりとも……」 おそるおそる立ち上がったソウマは、小さく震えている膝を押さえながら父さんに近づいた。 触ってみれば何かが分かるかも、と思って伸ばした手は、しかし、ばちんと音を立てて、何もないところで弾かれた。 「痛っ!」 横向きに叩かれたような傷みが手に走って、思わず顔をしかめたソウマは、何もない空間をじっと見た。しばらくそうしていると、暗闇に目が慣れるように、段々とソウマと父さんの間にあるものが見えてきた。 それは、父さんを取り囲むようにズラッと並んだ、縦に伸びる何十本もの金色の棒だった。棒は地面から上に向かって伸びて、リビングの天井近くで中心に向かって曲がり、1つにまとまっていた。その様子はまるで、父さんを逃がさないための檻に見えた。 「何だよ、これ……」
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