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「意外ですね。沼田本部長は反対かと思っていました」
高崎が言った。
「どうして、そう思う?」
「本部長は、副社長派ですから」
「何を言ってるんだ。わがアカツキ製薬に、社長派、副社長派なんて、派閥はない。みんな協力して、この難局を乗り越えなくては」
社長と副社長のパイプ役になるのが、私の役目だ。沼田は内心呟く。また高崎が沼田の顔色をうかがっている。この男は、私の心を読んでいるのか。
「ESプロジェクトも応援しているよ。メンバーにきいてみたら、いい」
そうですか、と高崎は無表情に返して続けた。
「これで中間報告書は全役員の目を通りました。次は、これを会社方針とすり合わせた上で、再度練り直しさせる必要があるでしょう」
「ああ、役員会で彼らにプレゼンさせるか。そこでディスカッションすればいい」
「社長のスイス出張前に、間に合いますか?」
「うーん、とにかくやってみよう」
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