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 太田早苗を見かけて、板倉昌之は足を止めた。  商品開発部に戻ろうと板倉がエレベーターを待っていると、ホールに奥から、社長と金髪の白人の初老の男二人が談笑しながら近づいてきた。早苗が彼らを案内していた。白人の客が英語で何か言うと、早苗が微笑んだ。その微笑みがまるでテレビの人のようで、板倉は思わず目を奪われた。  先導した早苗はすっとエレベーターに近づき、ボタンに手を伸ばして、一階を押す。伸ばす手、その指先まで美しくて、まるで舞いを見るようだった。早苗の均整のとれた体は、背の高い外国人と並んでも見劣りしない。  エレベーターが到着すると、早苗はさっと近づいて、開のボタンを押した。社長と白人らが乗り込んだあと、正面に立ち深々とお辞儀をした。その一連の動きが、花のようだ、と板倉は思った。  早苗に見とれて、一瞬我を忘れた。社長たちに黙礼をするのも忘れていた。口の中が乾く。胸が締め上げられるようで苦しい。  ずっと見ていたい。早苗と話がしたい。もっと近づきたい。抱きしめたい。  いかん、これってマジな奴。マジに恋しちゃっている。
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