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「それと、それよりも重要な事として、召喚獣との恋愛は禁止だ。最初に教えた通りだ。シュルラハロート侯爵から注意喚起があった。遠隔的に、学院での教育はどうなっているのかとも尋ねられたが、俺はきちんと注意をしている。まさか間違いが起きているんじゃないだろうな?」
「起きていません!」
「では、今どうしてクラインディルヴェルトは、お前を好きだと? 特に意味は無いと考えていいんだな?」
「はい!」
私が声を上げると、クライが腕を組んだ。
「どこから聞いていたんだ?」
そして、私と全く同じ疑問を抱いているようだった。
「イリスが、何故馬車の中で魔術を使ったのか問いかけたあたりから、偶発的に耳に入ってきてな」
「――その段階から? 俺に気づかせずに、一体どうやって後ろに立って聞いていたんだ?」
「召喚獣に対する人間の研究も進んでいるという事だ」
先生は表情をいつものように険しいものへと戻すと、私達の隣を通り過ぎた。
「鐘が鳴る。行くぞ」
「は、はい!」
私が慌てて追いかける脇を、ゆっくりとクライが歩いている。それから、どこか納得したように呟いた。
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