【19】具体的かつ詳細に

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「――月に一度、茶会の度に、君の話を聞くのが本当に楽しかった。今、こうして話していても、正直照れるし緊張もあるけど、俺は楽しいよ。イリスを見ていると、癒される」  目を開け、思案するように瞳を揺らしながら、ヴォルフ様がそう言った。感無量で、私はギュッと手を握り締めた。そんな風に思ってもらっていただなんて……! 「逆に聞きたいけど……イリスは、俺のどこが好きなの?」 「全部ですわ!」 「え?」 「最初は一目惚れいたしました。お顔も大好きです! ただ、もう、全部が好きなのです!」 「俺は、お世辞にも君には、優しくなかったかもしれない。先日言われて自覚したんだけど――それでも?」 「正直薄い反応は辛かったですわ。けれどそれは、嫌いとは違うのです。好きだからこそ、切なかったんです! ただ私は、優しいヴォルフ様がとても好きですわ」  私が熱く語ると、目を丸くしたヴォルフ様は、それから赤面して、片手で顔を覆った。照れる姿もイケメンだ……。 「私はヴォルフ様にとって、常に癒しとなる存在でいられるように心がけますわ」 「イリスはそのままで構わないよ。今のイリスが俺は好きだから。俺こそ、君にもっと気持ちを告げて、優しくするよう心がける」  そんな事を言い合い、私達は視線を合わせた。その後も、晩餐までの間、私達はずっと話をしていたのだった。
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