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【3】周囲が優しくないイケメンばかりなので、優しいイケメンを召喚する!
私はお風呂に入りながら、じっくりと考えた。
私の家族は麗しい。みんな優しい。
だが、だが、だが――私の周囲の男性は、皆、優しくない。冷たいと言える場合もあるだろう。顔がいい男とは優しくないのかと考えてみたが、兄や弟、なにより父を見る限り、そんなはずはないのである。
では、私が悪いのだろうか?
私の何がそんなに悪いのだろう?
母と私を比較てしてみる。私は母が大好きだ。ツルハシ型の杖を振り回している母の隣で、何時間もラベンダーを眺めていると幸せになる。母は、昔苦労したそうで、私に女の子は女の子らしい幸せを甘受すべきだと言って、好きな習い事をさせてくれたし、可愛い服を昔から買ってくれた。何より私を愛して、抱きしめてくれた。
もしかして、私には優しさが足りないのだろうか? いいや、そんなことはないだろう。私は完璧な侯爵令嬢を志していて、優しさもその要素だ。
ウンウン唸りながら、しばらくお湯に沈んだ後、ハッとした。
召喚獣は私に優しい。
ならば人型召喚獣も私に優しいかも知れない。
優しくなくても、優しくしてくれと命令可能である。命令不可能な召喚獣などほとんどいないし、それは四将軍以上の貴重な存在だ。そうだ――人型なのだから、顔面造形も召喚時の条件にできる。そうだそうだそうだ――優しいイケメンを召喚しよう。これならば私が変わるまでもない。周囲にいないのだから、優しいイケメンを喚んでくれば良いのだ。
こうして決意し、私はお風呂から上がった。
その日からずっと、鍵言葉にする『イケメン』にあたる召喚獣古代語を探し続け、イケメンを意味する紋章を探し続け、イケメンを呼び寄せる旋律を考え続け、私は朝も昼も夜もイケメンと優しさについて考え続け、いつしかイケメンの定義に混乱するほどになりながらも、なんとか召喚予定日前日に魔法陣を完成させ、その日は熟睡した。
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