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「ちょっと狭いですね」
身体を洗って2人で湯船に浸かると、俺はそう呟いた。一般家庭の風呂よりも大きいはずの此処も、体格のいい男が2人で入るには流石に小さい。
「星野君とくっつけるから僕は満足かな」
「……ちょっ、どこ触ってるんですか」
「んー?どこだろ」
何かが吹っ切れたみたいに、さっきから八重樫さんが俺の身体に手を這わせてきて、水中のせいなのかなんとも言えない感覚に背中がぞくぞくする。
「…はぁ…八重樫さんキャラ変わりました?」
「さあ、どうかな」
八重樫さんが俺の手に指を絡ませながらキスをしてくる。濡れた髪から滴る水が彼の鎖骨を滑って、それすら彼の色気を増す要因になっている気がした。
「ねえ、ここ座って」
八重樫さんが浴槽の縁を指で数回トントンと叩いた。
俺はそれに従って浴槽の縁に腰を下ろす。
暖房付きの風呂だから寒くはないけれど、彼の顔が俺の股の間にあってめちゃくちゃ恥ずかしい。
「顔まっか」
「……誰のせいだと思ってるんですか〜」
「僕、かな」
クスって色気たっぷりに笑った八重樫さんはそのまま俺の股に顔を埋めると、興奮で立ち上がる俺の性器を口に咥え込んだ。
「っ…はっ、八重樫さんの口の中めちゃくちゃあったかい」
彼の癖のない綺麗な髪を自分の手で揉みくちゃにして彼から与えられる快感に耐える。
ジュってわざと音を鳴らしながら、彼の舌が亀頭や裏筋を這う様を上から見つめながら、この人は本当に経験ないのかって疑いそうになる。
同じ男同士だから、気持ちのいい場所は分かるだろうけれど……
「……っ…八重樫さん男とこういうことしたことあるんですかっ…ん…」
「はぁ…あるわけないじゃない」
「……はっ、それだめ……」
俺の言葉にムッとし表情をした八重樫さんが、奥まで俺の肉棒を咥えこんで吸いつく。早くなったり遅くなったりと、緩急の付けられたそれに彼のエロさも相まってもう既に達しそうだ。
「もっ、無理……離して」
「このまま出していいよ」
「……八重樫さっ……んぁ……っ〜〜」
俺の言葉に余裕そうに返事をした彼は、いつ見つけたのか、俺の弱い場所を執拗に攻めてきて、俺はそれに耐えれずに彼の頭を抱き込んで思い切り彼の口内へ射精する。
我ながらめちゃくちゃ早い……。
射精した倦怠感と彼の口内の熱さのせいで逆上せそうな俺は全て出し切るとぐったりと彼に身体を預けた。
ずるりと彼の口から俺の性器が出されると、ゴクリと不穏な音が聞こえてきて俺は思わず勢いよく顔を上げた。
「……今飲みました?」
「ん?」
「いや……ん?じゃなくて〜」
じとりと彼を見ると、八重樫さんが口を開けて俺に見えるように舌を出した。
「変態っ」
「星野君のなら別に気にしないよ」
顔を赤くする俺に八重樫さんがくすくすと笑みを零して、俺はそれを見ながらこの人実は隠れ肉食系かもしれないって思った。
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